夜の10時。仕事から帰ったカシコは、ソファに座ってスマホを眺めていた。
同期の転職報告に、指が止まる。「ずっとやりたかった仕事に挑戦します」。笑顔の写真に、いいねを押した。
求人アプリを開きかけて、手を止める。今の仕事を辞めたいのかと聞かれると、それもよくわからない。
スマホの上に、淡い灰色の球体がふわりと浮かんだ。中には、あちこちを指す小さな矢印。どれも途中でかすんでいる。
【やりたいことがわからない】。カシコのモヤモヤが形になった、ナゾタマだった。
窓辺にとまった青い鳥のワイズが、首をかしげた。
この記事では、楽しかった瞬間、しんどかった場面、小さく試せることから、やりたいことの手がかりを探します。最後の「3つの問い」と記入例は、自分のことを書き出すときにも使えます。
1. 昔の「好き」は、どの瞬間が楽しかった?
カシコはテーブルにノートを広げた。「やりたいこと」と書いて、その下でペンが止まる。
言いながら、カシコのペンが動いた。「調べて、わかる」「誰かに伝える」。
ナゾタマの中で、二つの矢印がゆっくり並んだ。行き先はまだ見えない。でも、「何もない」と思っていたノートには、もう言葉が残っていた。
2. 「やりたくない」の、何がしんどい?
週末、カシコはカフェで旧友のアオイと会った。自分で事業を始めたアオイは、新しい仕事の話を楽しそうにしていた。
家に帰ってからも、すぐには答えられなかったことが気になった。カシコは、あの夜のノートを開く。
カシコは少し考えた。
カシコは「一人の仕事は苦手」に線を引き、「困ったときに相談できると助かる」と書き直した。
灰色の球体に、細いすき間ができた。中の矢印が、一つずつ見分けられるようになっていた。
3. 「合わなかった」は、どこが違った?
ノートを眺めているうちに、カシコはスマホの写真を開いた。
カシコの指が、一枚の葉の写真で止まった。
カシコは予定表を開いた。でも、日曜の欄を見つめて、また手が止まる。
ノートには「日曜、近所の公園で一枚。終わったら、また撮りたいかをメモ」と残った。講座を続けるか、仕事にするか。その答えは、今は空欄のままだ。
ふと、ナゾタマが小さく揺れた。中の矢印がほどけ、しおりのような細い光になって、ノートの間に収まる。端には、まだ灰色のもやが残っていた。
カシコは日曜の予定をもう一度見た。誰かに報告するには小さな予定だったけれど、その時間が少し楽しみになっていた。
4. まずは、一つの場面をメモしてみる
ここまで読んでくださったあなたへ。
人の近況を見たあと、「自分は何がしたいんだろう」と考えても、言葉が出てこない夜があるかもしれません。
そんなときは、思い出せる場面を一つ書くところから。カシコのように、何が楽しくて、どんな条件がしんどかったかを見ていくと、自分の希望を考える材料になります。
📝 自分の手がかりを拾う、3つの問い
書き方に迷ったら、下の空欄を使ってみてください。短い言葉でも構いません。
① 少し楽しかったのは、どんな瞬間?
[ ]をしていて、[ ]ときが楽しかった。
例:お店を調べていて、友達の希望に合う一軒が見つかったときが楽しかった。
② しんどかった場面は、何が変わると取り組みやすくなりそう?
[ ]がしんどかった。[ ]だと、少し取り組みやすそう。
例:わからないまま一人で作業するのがしんどかった。途中で相談できる相手がいると、少し取り組みやすそう。
③ 気になることを一度だけ試すなら、何を確かめたい?
[ ]に、[ ]を一度試す。終わったら、[ ]をメモする。
例:日曜に、公園で葉っぱの写真を一枚撮ってみる。終わったら、また撮りたいと思ったかをメモする。
三つとも埋めなくて大丈夫。今日はメモだけにして、試すことは余裕のある日に考えてもよさそうです。
やりたいことがまだ決まらなくても、自分が楽しいと感じた一場面は、次に開けるページになります。
あなたのノートにも、小さな手がかりが一つ残りますように。
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