やりたいことの見つけ方|周りと比べて焦るときの3つの問い

カフェのテーブルでノートを開き、頬に手を当てて考え込むカシコと、向かいに座って励ますように指を差す青い鳥ワイズ。ふんわりとした疑問符が空中に浮かんでいる。 自己分析・将来
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夜の10時。仕事から帰ったカシコは、ソファに座ってスマホを眺めていた。

同期の転職報告に、指が止まる。「ずっとやりたかった仕事に挑戦します」。笑顔の写真に、いいねを押した。

カシコおめでたいんだけど……なんか、置いていかれる感じがする。

求人アプリを開きかけて、手を止める。今の仕事を辞めたいのかと聞かれると、それもよくわからない。

カシコみんなは行き先が決まってるのに。私は、何がしたいんだろう。

スマホの上に、淡い灰色の球体がふわりと浮かんだ。中には、あちこちを指す小さな矢印。どれも途中でかすんでいる。

【やりたいことがわからない】。カシコのモヤモヤが形になった、ナゾタマだった。

窓辺にとまった青い鳥のワイズが、首をかしげた。

ワイズふむふむ。その人の仕事、カシコもやってみたい?
カシコうーん……仕事の中身は、よく知らない。『これがやりたい』って言えるのが、うらやましいのかも。
ワイズ自分にも、そう言えるものがほしいんだね。今夜は、その手がかりを一つ探してみようか。

この記事では、楽しかった瞬間、しんどかった場面、小さく試せることから、やりたいことの手がかりを探します。最後の「3つの問い」と記入例は、自分のことを書き出すときにも使えます。

1. 昔の「好き」は、どの瞬間が楽しかった?

カシコはテーブルにノートを広げた。「やりたいこと」と書いて、その下でペンが止まる。

カシコやっぱり出てこない。大きな夢って、今まであったかな……。
ワイズ大きな夢に限らず、つい時間を使っていたことはある? 子どもの頃でも、最近の休日でも。
カシコ子どもの頃は、昆虫を捕まえて図鑑で調べてた。あとは、学校の発表をみんなで作るのが好きだったな。
ワイズ図鑑を見ていて、どんなときが楽しかった?
カシコ似てる虫を見比べて、『こっちだ!』って名前がわかったとき。次の日、友達に教えるのも好きだった。

言いながら、カシコのペンが動いた。「調べて、わかる」「誰かに伝える」。

カシコそういえば、友達と出かけるお店を調べるのも嫌じゃない。条件に合うところを見つけて、『ここどう?』って送るまでが楽しい。
ワイズ虫の名前とお店探し。カシコが楽しいと感じる瞬間に、似たところがありそうだね。
カシコ昆虫が好きだったから、昆虫の仕事を探さなきゃ……って考えかけてた。
ワイズ今の暮らしでも、その楽しさを味わえる場面があるかもしれないね。

ナゾタマの中で、二つの矢印がゆっくり並んだ。行き先はまだ見えない。でも、「何もない」と思っていたノートには、もう言葉が残っていた。

2. 「やりたくない」の、何がしんどい?

週末、カシコはカフェで旧友のアオイと会った。自分で事業を始めたアオイは、新しい仕事の話を楽しそうにしていた。

アオイカシコは最近どう? 何かやってみたいことある?
カシコちょうど、探してるところ。まだ、これっていうのはなくて。

家に帰ってからも、すぐには答えられなかったことが気になった。カシコは、あの夜のノートを開く。

カシコ少し手がかりが見えたと思ったのに。人に聞かれると、また何もない気がしちゃう。
ワイズ人に話す言葉になるまで、少し時間がかかるのかもしれないね。別の入口も見てみようか。最近、しんどかったのはどんな場面?
カシコ一人で作業してるときかな。やっぱり、一人の仕事は向いてないのかも。
ワイズ図鑑で調べるのは、一人でも楽しかったんだよね。その作業では、何がしんどかった?

カシコは少し考えた。

カシコ……わからないところがあっても、誰に聞けばいいかわからなかった。間違ってたらどうしようって、ずっと止まってたんだ。
ワイズ相談できる相手がいたら、感じ方は変わりそう?
カシコうん。一人の時間が全部嫌なわけじゃないんだ。行き詰まったときに聞けると、安心して進められそう。

カシコは「一人の仕事は苦手」に線を引き、「困ったときに相談できると助かる」と書き直した。

ワイズその条件は、次に何かを選ぶときにも使えそうだね。
カシコ『これは無理』で終わってたけど、どうだったらやってみたいかも、書けるんだ。

灰色の球体に、細いすき間ができた。中の矢印が、一つずつ見分けられるようになっていた。

3. 「合わなかった」は、どこが違った?

ノートを眺めているうちに、カシコはスマホの写真を開いた。

カシコ実は先月、街歩きの写真講座に一度だけ行ったんだ。でも、次は申し込まなかった。せっかく始めたのに、また続かなかったなって。
ワイズどんな時間だった?
カシコ路地の影とか、葉っぱの模様を撮るのは楽しかった。でも、説明がどんどん進むから、設定がわからなくても聞けなくて。途中からついていくだけで精いっぱい。
ワイズ楽しかった時間もあったんだね。写真の中で、もう一度撮ってみたいものはある?

カシコの指が、一枚の葉の写真で止まった。

カシコこれ。葉っぱの裏に、こんな模様があるって知らなかった。もっと近くで見たかったんだよね。
ワイズ次は、どんな形ならその時間を作れそう?
カシコ日曜に近所の公園を歩いて、一枚だけ撮ってみようかな。名前も調べて……気に入ったら、アオイに見せたい。

カシコは予定表を開いた。でも、日曜の欄を見つめて、また手が止まる。

カシコそれで将来が決まるわけでもないのに、こんなことでいいのかな。
ワイズその一回で、何がわかるとうれしい?
カシコ……自分のペースで撮ったら、またやりたいと思うのか、かな。
ワイズうん。今、確かめたいのはそれなんだね。
カシコやってみて違ったら、『何が楽しかったか』『何がしんどかったか』を、また書けばいいか。

ノートには「日曜、近所の公園で一枚。終わったら、また撮りたいかをメモ」と残った。講座を続けるか、仕事にするか。その答えは、今は空欄のままだ。

ふと、ナゾタマが小さく揺れた。中の矢印がほどけ、しおりのような細い光になって、ノートの間に収まる。端には、まだ灰色のもやが残っていた。

カシコあ、まだちょっと曇ってる。
ワイズまだわからないことも、あるからね。
カシコうん。でも、次に開くページは決まった気がする。

カシコは日曜の予定をもう一度見た。誰かに報告するには小さな予定だったけれど、その時間が少し楽しみになっていた。

4. まずは、一つの場面をメモしてみる

ここまで読んでくださったあなたへ。

人の近況を見たあと、「自分は何がしたいんだろう」と考えても、言葉が出てこない夜があるかもしれません。

そんなときは、思い出せる場面を一つ書くところから。カシコのように、何が楽しくて、どんな条件がしんどかったかを見ていくと、自分の希望を考える材料になります。

📝 自分の手がかりを拾う、3つの問い

書き方に迷ったら、下の空欄を使ってみてください。短い言葉でも構いません。

① 少し楽しかったのは、どんな瞬間?

[ ]をしていて、[ ]ときが楽しかった。

例:お店を調べていて、友達の希望に合う一軒が見つかったときが楽しかった。

② しんどかった場面は、何が変わると取り組みやすくなりそう?

[ ]がしんどかった。[ ]だと、少し取り組みやすそう。

例:わからないまま一人で作業するのがしんどかった。途中で相談できる相手がいると、少し取り組みやすそう。

③ 気になることを一度だけ試すなら、何を確かめたい?

[ ]に、[ ]を一度試す。終わったら、[ ]をメモする。

例:日曜に、公園で葉っぱの写真を一枚撮ってみる。終わったら、また撮りたいと思ったかをメモする。

三つとも埋めなくて大丈夫。今日はメモだけにして、試すことは余裕のある日に考えてもよさそうです。

やりたいことがまだ決まらなくても、自分が楽しいと感じた一場面は、次に開けるページになります。

あなたのノートにも、小さな手がかりが一つ残りますように。

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