1. 午後2時の会議、まぶたが重い
午後2時。
会議室のスクリーンに、資料が映し出されている。
カシコは、まぶたと戦っていた。
寝てない。寝てないけど、目を開けてるだけ……)
お昼は、いつも通りだった。
デスクで菓子パンをかじって、甘いカフェラテで流し込んで、5分で完了。
忙しい日の、いつもの昼ごはん。
なんとか会議を乗り切って、夜。
家に帰ったカシコは、ソファに沈み込んだ。
でも、変なんだよね。
今日、そんなに働いてないんだけど
デスクワークだけの日なのに、体が重い。
午後は毎日、あの猛烈な眠気とだるさが来る。
それとも、年……?
そのとき、ソファのくぼみに、
ぼてっ、と球体が沈み込んだ。
鈍い飴色で、表面がべたっとつやめいて、
いかにも重たそうに、クッションに埋まっている。
(ナゾタマが、動くのもおっくうそうに、沈んでいる)
ずいぶん重たそうなナゾタマだねぇ
ソファの肘掛けに、ワイズがとまっていた。
私、最近すごく疲れやすいの。
大して動いてないのに、午後になるとぐったり
じゃあ、ひとつ聞いてもいい?
今日のお昼、何を食べた?
菓子パンと、カフェラテだけど……。
それ、疲れと関係あるの?
実はね、けっこう大ありなんだ
2. 疲れやすいのは、体力や年齢のせいだけじゃない
体力が落ちたんじゃなくて、
“ジェットコースター”に乗ってるせいかもしれないよ
乗ってないよ、会議室にいたもん
空きっ腹に、甘いパンと甘い飲み物を入れると、
血糖値がぐーんと急上昇するんだ
今度は急いで下げようとする。
そうすると、上がった分だけ、
今度は一気にドーンと下がる
あ、ジェットコースターだ
そしてその”急降下”のときに来るのが、
あの強烈な眠気と、だるさなんだよ
午後2時のあれって……
お昼の食べ方が作った谷底に、
ちょうど落ちてる時間なんだ
私、体力がないんだとばっかり……
ほかの理由もあるけどね。
でも”食後の急降下”は、
がんばりや根性とは関係ない。
ただの、体の仕組みなんだよ
カシコは、ソファに沈むナゾタマを見た。
このべたっとした重さは、
自分の弱さじゃなくて、
乗り物のせいだったのかもしれない。

- 午後の強烈なだるさは、体力や年齢のせいとは限らない
- 「血糖値のジェットコースター」の急降下で起きていることが多い
3. 紙をくべるか、薪をくべるか
菓子パン、禁止……?
その前に、イメージをひとつ。
カシコの体はね、小さなたき火なんだ
カシコを動かしてる。
で、食べものは、そこにくべる燃料。
——ここで問題です。
紙と薪、火にくべると、どう違う?
薪は、じわじわ長く燃える
甘いパンや甘い飲み物だけの食事はね、
紙をくべてるのと似てるんだ。
ぱっと元気が出るけど、すぐ燃え尽きる
甘いものが欲しくなるんだ……
紙は、くべ続けなきゃいけないからね。
一日中、火の番をしてるようなもので、
それだけで疲れちゃう
特に、卵、お肉やお魚、豆腐や納豆みたいな、
タンパク質のあるものだね。
ゆっくり燃えて、火を安定させてくれる
それって結局、”ちゃんと自炊して
バランスのいい定食を作りましょう”って話でしょ?
それができたら苦労しないよ
違うんだなぁ。
大事なのは、引き算じゃなくて、足し算なんだ
- 甘いものだけの食事は「紙」、タンパク質のある食事は「薪」
- 紙だけだと火の番に一日中追われて疲れる
4. 「やめる」じゃなくて、「一品足す」
菓子パンを、やめなくていい。
そこに、薪を一本足すだけでいいんだ
📌 たとえば、コンビニでできる足し算。
疲れにくい食べ方=3つの”足し算”
① 一品足す/いつものパンに、ゆで卵・豆腐バー・ツナ・ヨーグルトから好きなものをひとつ
② 順番を変える/先に卵やサラダを食べてから、パンにいく
③ 空腹を深くしない/忙しい日は、ナッツやチーズをちょっとつまんでおく
ゆで卵、豆腐バー、ツナ、ヨーグルト……
このあたりから、好きなものをひとつ足す。
苦手なものは、選ばなくていいからね
先に卵やサラダを食べてから、パンにいく。
先に薪を入れておくと、
血糖値の上がり方が、ゆるやかになりやすいんだ
甘いものに飛びつかないこと。
空腹が深いほど、ジェットコースターは
高いところから落ちるからね。
忙しい日は、ナッツやチーズを
ちょっとつまんでおくだけでもいい
糖質制限とか、置き換えとか、
そういうのじゃなくて?
“やめる”はね、意志の力がいるから、
疲れてる人ほど続かないんだ。
でも”足す”なら、レジでひとつ
かごに入れるだけでしょ
ゆで卵なら、私にもかごに入れられる
完璧な定食じゃなくていい。
紙の隣に薪が一本あるだけで、
火の燃え方は、ちゃんと変わるから
強いだるさや眠気が、ずっと続くときは、
食べ方のせいだと決めつけないでね。
睡眠や、体のほかの理由が隠れていることもあるから、
そのときは、お医者さんに相談してみてほしいんだ

5. まぶたが、落ちてこなかった午後
数日後の、お昼。
カシコはコンビニで、いつもの菓子パンを手に取った。
そして少し迷ってから、
ゆで卵と、カップのお味噌汁を、かごに足した。
先にゆで卵とお味噌汁、それからパン。
食べる順番も、ちょっとだけ入れ替えた。
そして午後2時、会議室。
まぶたが、落ちてこない。
正直、眠気がゼロになったわけじゃない。
たまたま、かもしれない。
でも、いつもの、崖から突き落とされるような
あの猛烈なだるさは、来なかった。
私、毎日ジェットコースターに、乗ってたのかな)
その夜、ソファのナゾタマは、
べたっとした飴色のつやが落ち着いて、
クッションに埋まらずに、
ふわりと軽く浮かんでいた。
(重さが全部消えたわけじゃない。
でも、もうソファに沈み込んではいなかった)
ゆで卵、一個足しただけなんだけどね
午後のカシコを支えてたんだよ
ここまで読んでくださった、あなたへ。
「大して動いてないのに、いつも疲れてる」
「午後になると、必ず猛烈なだるさが来る」
会議室でまぶたと戦っていたカシコに、
心当たりがあった方も、いるかもしれません。
でも、それは体力や気合いの問題とは限りません。
- 午後のだるさの正体は、血糖値のジェットコースターの「急降下」かもしれない
- 甘いものだけの食事は「紙」。ぱっと燃えてすぐ消えるから、体が火の番に疲れる
- 「やめる」はいらない。ゆで卵ひとつ、先に食べる順番——足し算だけでいい
今日からできるのは、ほんの小さなことだけ。
- 1いつもの昼食に、ゆで卵かヨーグルトをひとつ足してみる
- 2パンやごはんの前に、おかずをひと口先に食べてみる
- 3空腹が深い日は、甘いものの前にナッツをちょっとだけつまんでみる
疲れにくさは、頑張りじゃなくて、くべるものでつくれる。
あなたのナゾタマも、ソファに沈まなくなる午後が増えていけば、それで十分です。
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