SNSをやめられない…分かっているのに見てしまう心の整え方

「5分だけのつもりが、40分…」「見たいんじゃなくて、すき間を埋めたいだけ」「禁止しなくていい。ひと手間だけ遠くする」の文字と、夜のベッドでスマホを見て驚くカシコ、青い鳥のワイズ、橙色に光るナゾタマのイラスト。 健康・生活習慣
記事内に広告が含まれています。

1. 「5分だけ」のはずが、40分たっていた夜

夜。
寝る前に、時間だけ確認しよう――
そう思って、カシコはスマホを手に取った。

時刻を見た、そのついでに、通知をひとつ開く。
そのついでに、タイムラインを少しだけ。

気づいたときには、画面の上の時計が、
40分も進んでいた。

カシコ……うそ。
私、いま何を見てたんだっけ

思い出そうとしても、出てこない。
誰かのごはん、誰かの旅行、知らない人のケンカ。
流れていった気がするだけで、何も残っていない。

カシコ楽しかったかっていうと……
別に、そうでもないんだよね。
むしろ、ちょっと疲れてる
カシコ見ない方がいいって、分かってるのに。
なんで私、また開いちゃうんだろう

そのとき、枕元のあたりに、
ちかちかと明滅する、小さな球体が浮かんだ。
まるでスマホの通知ランプのように光っては消え、
目をそらしても、また光って、視線を引き寄せてくる。

(ナゾタマが、誘うように、ちかちかと光り続けている)

ワイズおやおや。
ずいぶん、まぶしいナゾタマだねぇ

ベッドのヘッドボードに、ちょこんとワイズがとまっていた。

カシコワイズ……。
私、またやっちゃった。
『5分だけ』のつもりが、こんな時間
ワイズふむふむ。
じゃあ、ひとつ聞いてもいい?
その40分、カシコは見たくて見てたのかな
カシコ……え?
見たくて見てたに、決まって……

言いかけて、カシコは止まった。
見たかったもの、と聞かれると、
ひとつも思い浮かばなかったからだ。

2. やめられないのは、意志が弱いからじゃない

カシコでもさ、結局、
やめられない私の意志が弱いんだよね。
『見ない』って決めても、続かないし
ワイズうーん、それはちょっと違うんだなぁ
ワイズまずね、これだけは知っておいてほしいんだ。
SNSって、つい見ちゃうように、
すごーく上手に作られてるんだよ
カシコ上手に……?
ワイズうん。
スクロールしても、スクロールしても、終わりが来ない。
次に何が出てくるか、分からない。
たまに、すごく面白いものが混ざってる
カシコあ……それ、
『もうちょっとだけ』って思っちゃうやつだ
ワイズそうそう。
『次はいいものが出るかも』って感じると、
人の頭は、なかなか手を止められないんだ。
たくさんの大人が知恵を集めて、
そうなるように設計してるんだよ
カシコえ……
じゃあ、私一人の意志で勝てないのって……
ワイズうん。
ある意味、当たり前なんだ
ワイズだからね、
『やめられない私はダメだ』って責めるのは、
ちょっと相手が悪すぎる。
カシコが弱いんじゃなくて、向こうが強いんだよ

カシコは、明滅するナゾタマを見た。
ずっと、自分の意志の問題だと思っていた。
でも、この光は、そもそも目を引くように作られた光なのだ。

  • SNSがやめられないのは、「つい見てしまう」ように設計されているから。意志の弱さのせいにしなくていい。

3. 「見たい」んじゃなくて、「すき間を埋めたい」

ワイズそれとね、もうひとつ。
こっちの方が、実は大事かもしれない
カシコうん
ワイズカシコがスマホを開く直前って、
何をしてるときが多い?
カシコ直前……?
えっと……寝る前とか、
電車を待ってるときとか、
仕事の合間の、ぽっかり空いた時間とか……
ワイズうんうん。
じゃあ、その瞬間の気持ちは?
カシコ気持ち……。
別に、何も……。
あ、でも、なんていうか……
間がもたない感じは、あるかも
ワイズそう、それ!
ワイズたとえばさ、
お腹すいてないのに、
冷蔵庫を開けちゃうこと、ない?
カシコあるある。
『何かあるかな』って、つい開けて、
何もなくて、閉める
ワイズSNSってね、
あれの、無限に補充される版なんだ
カシコ無限に補充される、冷蔵庫……
ワイズうん。
本当に見たいわけじゃない。
ただ、ぽっかり空いたすき間があると、
人は何かで埋めたくなる
ワイズ退屈、手持ちぶさた、ちょっとした不安。
そういうすき間にいちばん近くて、
いちばん手軽なのが、スマホだった。
それだけのことなんだよ
カシコ……そっか。
私、SNSが見たかったんじゃなくて、
すき間を、埋めたかっただけなんだ

カシコは、少し不思議な気持ちになった。
「やめられない」の正体が、
思っていたよりずっと、小さく見えたからだ。

  • 開いてしまう本当の理由は、「すき間を埋めたい」であることが多い。
ほぼ空の冷蔵庫をのぞくカシコと、無地のカードが次々に出るスマホを同じぼんやりした表情で見るカシコを並べ、右端に橙色のナゾタマが光る2コマの図。

4. 禁止しなくていい。「ひと手間」だけ遠くする

カシコじゃあさ、どうすればいいの?
やっぱり、アプリを消すとか……?
ワイズうーん、それもひとつの手だけどね。
禁止って、実はあんまり続かないんだ
カシコあ、分かる。
前に『見ない!』って決めたとき、
3日目くらいで、逆にすごく見たくなった
ワイズでしょ。
『見ちゃダメ』って思うほど、
頭の中はSNSのことでいっぱいになる
ワイズだからね、
戦わなくていい。
ちょっとだけ、遠くすればいいんだ
カシコ遠くする?

📌 たとえば、こんな「ひと手間」。

ワイズアプリを、ホーム画面の1ページ目から、
奥のフォルダに引っ越しさせる
ワイズ寝るときだけ、スマホを
手の届かない場所で充電する
ワイズ開きたくなったら、
先に水を一口だけ飲む
カシコ……えっ、そんなことでいいの?
どれも、すごく小さいけど
アプリをフォルダへ移す図、ベッドから離れた棚で充電するスマホ、スマホの脇で水のコップを右手で持ち上げる様子が横に並び、下にカシコと青い鳥のワイズがいるイラスト。
ワイズ小さくていいんだよ。
『つい』って動作はね、
考える前に、指が動いてるんだ
ワイズだから、そこにひと手間はさまると、
『あ、私いま開こうとしてたな』って、
気づく間ができる
カシコ気づく間……
ワイズうん。
気づけたら、そこで選べるんだ。
『このまま見る』でもいいし、
『今日はやめとく』でもいい
カシコ見ちゃっても、いいんだ?
ワイズいいんだよ。
大事なのは、ゼロにすることじゃなくて、
『流されて見る』を、『選んで見る』に変えること。
それだけで、ぜんぜん違うんだ

5. 「気づけた夜」を、数えていく

数日後の夜。
カシコは、布団に入って、ふとスマホに手を伸ばした。

いつもの動き。いつもの指。
でも、アプリは昨日、奥のフォルダに引っ越したばかりだった。

ホーム画面のいつもの場所に、アイコンがない。
その、ほんの一瞬のつまずきで――

カシコ……あ
カシコ(私いま、別に見たくないんだ。
ただ、寝る前の間が、もたなかっただけだ)

カシコは、スマホをそっと枕の向こうに置いた。
部屋が、静かになる。

少しだけ、手持ちぶさたな感じがした。
でもそれは、思っていたほど、嫌なものじゃなかった。

カシコ……なんだ。
すき間って、埋めなくても、大丈夫なんだ

ふと見ると、枕元のナゾタマが、
ちかちかとせわしなかった明滅をやめて、
ゆっくりと、静かな呼吸のような光に変わっていた。

(ナゾタマは、消えてはいない。
でも、もう視線を引っぱらなかった)

ワイズうん。
今夜は、選べた夜だったね
カシコ明日は、また見ちゃうかもだけどね
ワイズそれでいいんだよ。
見なかった夜を数えるんじゃなくて、
気づけた夜を数えていけばいい

ここまで読んでくださった、あなたへ。

「分かっているのに、開いてしまう」
「気づいたら、時間だけが溶けている」

そんな夜を過ごしているカシコの姿に、
心当たりがあった方も、いるかもしれません。

でも、それはあなたの意志が弱いからではありません。

  • SNSは「つい見てしまう」ように設計されている。一人の意志で勝てなくて当たり前
  • 開いてしまう本当の理由は、「すき間を埋めたい」であることが多い
  • 禁止はしない。「ひと手間」はさんで、「流されて見る」を「選んで見る」に変えていく

今日からできるのは、ほんの小さなことだけ。

  • 1よく開くアプリを、ホーム画面の奥のフォルダにひとつ引っ越しさせてみる
  • 2開きたくなったら、先に水を一口だけ飲んでみる
  • 3見てしまった夜は、「間がもたなかったんだな」と、責めずに眺めてみる

すき間のいちばん近くに、たまたまスマホがあっただけ。

あなたのナゾタマも、明滅が落ち着いて、選べる夜が増えていけば、それで十分です。


タイトルとURLをコピーしました